『仕事だいじょうぶの本』職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK
『仕事だいじょうぶの本』職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOKーは、働きたいのに会話が苦手でつまずいてしまう、そんなあなたの不安をSST(ソーシャルスキルトレーニング)の技法を使って解決していくレッスンBookです。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、社会生活に困難をきたす人に向け、その特性に配慮しながら、コミュニケーションや対処技能を効果的に学習するための方法として開発されました。
今や、教育や就労関係、司法分野などにも幅広く活用されている援助技法です。
働きたいのに会話が苦手で就職やバイトに自信が無い。就職してもどう話したら良いのか分からなくて逃げ出したくなる、コミュニケーションにつまずいてしまい仕事がつらい、長続きできない。人間関係に悩む。仕事をやめて自信も失って家に引きこもっている。なんとかしたい。
そんな思いを抱えていませんか。
楽しく前向きに働き「仕事だいじょうぶ」になり、充実した人生を送ってもらいたい。少しでもそのお役に立ちたい。そんな思いで『仕事だいじょうぶの本』を書きました。
困った実例の解決手順 ▶ 練習 ▶ 解説 ▶ 参加者の声 を読むだけで「職場での会話のコツ」が身に付きます
就労・生活支援30年の著者が、「困った場面」→「対処方法」を実例で具体的に解説しています。
声に出して読むだけで、一緒にプログラムに参加しているように練習でき、コミュニケーションのコツが身に付いていきます。職場の人間関係には誰もが悩みます。コミュニケーションを体系立てて教えてもらったことのある人はほとんどいません。職場で難しい状況になっても、いくつかの対処法を知っていれば何とか乗り越えることができるのです。
会話の練習例は先輩たちが悩み、対処方法を模索し、練習してきた長年の蓄積
本書で紹介している会話練習の例は、これまでに就労移行支援事業所や障害者職業センター、ハローワークなどで行ったSSTの実例に基づいています。
練習手順や参加者の意見をホワイトボードに書き出し、内容を写真撮影し、その都度、自宅でも練習できるようにとテキストにまとめて参加者に配布してきました。
みんなが悩み、対処方法を模索し、練習してきた長年の蓄積が本になったものです。
この本を通じて、みんなであなたの「働く」を応援します。
コミュニケーションが苦手な人を支援する方法は? そんなときに著者が米国で出会ったSST(ソーシャルスキルトレーニング)!
著者は約30年にわたり、精神および発達障がいのある人たちの「働く」ことを支援してきました。「ちょっとしたことで働けるようになるはずなのに」と思いながらも、その支援の方法が無くもどかしさを感じていました。
そんなとき、1990年に米国で地域精神保健福祉を学ぶ機会があり、そこでSSTを実際に受講し、これだ!と実感したのです。
その後、日本で始まった東京大学医学部附属病院精神科デイホスピタルでのSST研修に参加し、早速、生活・就労支援プログラムに取り入れ、今日に至るまで事業所や利用者さん、企業の皆さんと共に試行錯誤を重ねながら日本の現状に即したSSTを構築してきました。
現在、著者が勤める就労移行支援事業所では就労に向けさまざまな職業リハビリテーションプログラムを取り入れていますが、同事業所において利用者さんにアンケート調査をすると、働くことに最も役立ったプログラムについて、常に断トツ1位なのがSSTなのです。
1人でも、みんなでも学べるSST教材テキストとして出版。30年の経験を全公開
出版に当たっては、実際に使っているテキストに加え、訓練に参加した人たちが直面した実例や、その解決法を取り上げてポイント解説もしています。
レッスンに参加しているようなデザインになっていますので、本人はもちろん、支援施設や職場、学校でも、すぐに活用していただけます。「この本の使い方」(P3)を参考に本書の内容に沿って、ぜひ声に出して練習してみてください。
学校を卒業し新社会人として歩み始めた人や、働きたいがコミュニケーションに自信がないと感じている人、また今働いているけれども職場の人間関係に悩んでいる人、後輩や部下にどう指導していいか分からない人、そして就労を支援する立場の人にも、ぜひ、お読みいただければと思います。
本書をあらゆるところで、それこそボロボロになるまで活用いただけましたら、これ以上の喜びはありません。皆様のお役に立てることを心から願っております。
著者・北岡祐子より「仕事だいじょうぶの本」を手に取ってくださった皆さまへ
悩みながらも希望に向かって歩んでいる方々を応援する本
日ごろ私は、就労移行支援事業所(創)シー・エー・シーの所長として、精神障害のある方の職業リハビリテーションと就労支援サービスを提供しております。
「働く」ことへの支援とは、単に就職すればいいとは考えておりません。
(創)シー・エー・シーの役割は、精神障害や発達障害という困難な課題を与えられた方々と一緒に、その課題の解決や改善、軽減のためにどうすればいいのか、生活上や働く上での工夫やコツをみつけ、練習し、新たな方法にチャレンジする気持ちや勇気の一歩を踏み出す力をつける場、新たな自分の力を引き出す場所でもあります。
特に大切なことは、希望に向かうためのコミュニケーション力と対処方法を身につけることです。
他者へ自らの状況を表現し、話し合い、相談することができれば、もっと体調管理や働くこともしやすくなります。
そこで、このたび精神障害や発達障害のある方々へ実施していた就労支援のためのSSTを当事者向けの本『仕事だいじょうぶの本』(ペンコム出版) を出版する運びとなりました。
精神障害や発達障害のある「働きたい」と希望している方々に、その場その場に対応するコミュニケーション方法を詳細に解説しています。
自分ひとりでも学べ、支援者と一緒に練習することもできます。
また障害の有無関係なく、学校を卒業し新社会人として歩み始めた人や、働きたいと思っていてもコミュニケーションに自信がないと感じている人、また今働いているけれども職場の人間関係に悩んでいる人へ具体的場面や方法について、すぐわかるように工夫しました。
後輩や部下にどう指導していいか分からない人、そして就労を支援する立場の人にも参考になると思います。
この本は、今までSSTを行った際の利用者の意見やアイデア、悩みと回答が詰まっており、働くことに悩んでいる方にも共感していただけると思っております。
悩みながらも希望に向かって歩んでいる方々を応援する本でもありますので、ぜひご活用いただけましたら大変嬉しく存じます。
仕事だいじょうぶの本は、就労支援・就職サポートに携わる方にもおすすめの本です
✓コミュニケーションが苦手で働く自信がない人
✓就職やバイトで職場の人間関係に不安な人
✓子どもとの意思疎通が難しいと感じている親・家族
✓メンタルヘルス課題がありコミュニケーションに悩んでいる人
✓帰国・外国人の児童生徒、留学生、会社員など日本語が苦手な人
✓就労・生活支援にあたる支援者
(医療、福祉、行政、学校、事業所、保護司、民生児童委員など)
続々と感想をお寄せいただいています
『仕事だいじょうぶの本』SST教材テキストで練習して就職した先輩の声
このテキストではビジネスシーンでのコミュニケーションを実例に沿って練習します。
就労経験のある人にとっては、身に付いた敬語や他のビジネススキルを忘れない、また、思い出す上でも効果的ですし、そういったスキルが失われていないことが自覚できて、自信を取り戻すきっかけになります。
就労経験のない人や若い人で『会社特有の言い回し』などに慣れていない人たちにとっては、このような練習を事前に繰り返すことで、職場に入った際にも、先輩や上司との接し方に戸惑うことなく、スムーズに職場に馴染んでいける点で、有意義なトレーニングだと思います。
私は人と話をしたりするのは苦手で、休み時間の世間話とかをするときには緊張して話すことが思い浮かびませんでした。このテキストには対人関係の取り方や、コミュニケーションの練習、休憩時間の過ごし方、雑談をするときの話題、話をするときや聞くときの姿勢の練習などがあり、それを参考にして日々の中で取り入れていきました。
今は慣れてきて他の人たちと休み時間にいろんな話ができることがすごく楽しいです。
『仕事だいじょうぶの本』 P2より
仕事だいじょうぶの本の使い方
できることから、できる範囲で、無理しないで取り組みましょう
この本で練習すれば、働くうえで必要なコミュニケーションスキルや対処法を身に付けることができます。そして、あなたの働く力と意欲が引き出されます。
SST(ソーシャルスキル・トレーニング)レッスン
1人で練習する場合
① 目次を見て、関心のあるところや、会話の仕方が分からなかったことなどについて読んでください。
② 各項目の練習「場面の例」を声に出して読んでみましょう。
③ 覚える必要はありません。何度も声に出して読んでいるうちに、自然とコツが身に付いていきます。自分の仕事体験の例を会話に当てはめながら練習すると更に効果的です。
相手役と一緒に練習する場合
① 知り合い(友人、家族、先生、支援者など)に相手役になってもらい、各項目の練習「場面の例」を、声に出して読んでみましょう。
② あなたの「困った実例」の解決法を相手役の人と一緒に考えて、あなたの実例に沿った練習をすると更に効果的です。
【このときの相手役の注意事項】
- 相手役の人はできたところや良いところをほめましょう。本人の自信につながります。
- できないところを「指摘しない」「怒らない」「叱らない」「イライラしない」で進めましょう。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)参加者の感想
『仕事だいじょうぶの本』 P3より
目次
このテキストで練習して再就職した先輩の声
[この本の使い方]できることをできる範囲で
働きたいのに会話が苦手でつまずいてしまうそんなあなたの不安を解決します
「コラム」 まず、体調・生活管理を心掛けましょう
第1章 「働くことが難しい」その原因は?解決法は?
第1節 私たちにとって「働く」とは
第2節 「働く」ことが難しく感じられるとき
第2章 職場で今すぐ役立つコミュニケーション練習(基本編)
第1節 あいさつ
第2節 指示を受ける
第3節 報告する
1.報告の仕方の手順
2.報告の仕方の練習
□場面の例① 具体的に報告する
□場面の例② 進行状況を報告する
第4節 緊急連絡をする(遅刻・早退・欠勤など)
1.緊急連絡の仕方の手順
2.緊急連絡の仕方の練習
□場面の例① 忘れ物をしてしまった
□場面の例② 病気になった場合
第5節 相談する
1.相談の仕方の手順
2.相談の仕方の練習
□場面の例① 今の業務について、今すぐ相談したい
□場面の例② 体調について相談
□場面の例③ 職場の人間関係について相談
「コラム」 SSTや支援を受け現在働いている人に聞きました❶
第6節 質問する
1.質問の仕方の手順
2.質問の仕方の練習
□場面の例① 印刷機の使い方を質問
第7節 電話応対
1.電話応対の手順
2.電話応対の練習
□場面の例① 基本的な最初の対応の仕方
□場面の例② 相手が指名した竹内課長が外出して席にいなかった
□場面の例③ 相手の名前が長くて聞き取れなかった
□場面の例④ 相手が名乗らず突然用件を話してきた
第8節 休暇を取る
1.休暇を取る手順
2.休暇の取り方の練習
□場面の例① 1日の休暇を取る
□場面の例② 旅行のための休暇を取る
「コラム」 SSTや支援を受け現在働いている人に聞きました❷
第9節 お願いする
1.お願いの仕方の手順
2.お願いの仕方の練習
□場面の例① 荷物がたくさんあり1人で運んだら腰が痛くなりそう
□場面の例② 担当業務をしながら、別の業務時間も迫っていて誰かに頼むとき
第10節 断る
1.断り方の手順
2.断り方の練習
□場面の例① 親しい関係にある相手の誘いを断る
□場面の例② 職場の上司から急に仕事を頼まれたが、今は自分の業務が手一杯でできれば断りたい
□場面の例③ 理由を言って断った方がいい場合もある
「コラム」 お金を貸してほしいと言われたら
第11節 仕事で注意や批判されたとき
1.仕事で注意や批判されたときの対応手順
2.仕事で注意や批判されたときの対応練習
□場面の例① 「もっと早くして」と言われたときの対応
第12節 仕事で失敗や間違いをしてしまったとき
1.失敗や間違いを報告・対処する手順 60
2.失敗や間違いを報告・対処する練習 61
□場面の例① 製品を落としてしまった 61
「コラム」 「失敗を報告するとき」「失敗しそうなとき」
第3章 職場で良い人間関係を作る伝え方の練習
第1節 相手の良いところ、できているところを伝える
1.良いところ、できているところの伝え方
2.良いところを伝える手順
3.良いところを伝える練習
□場面の例① 出勤時(同僚に朝のあいさつをした後に良いところを伝えます)
□場面の例② 休憩時(先輩に良いところを伝えます)
第2節 してほしいことを伝える(責めずに的確な指示を出す)
1.責めるのではなく、してほしいことを伝える手順
2.責めるのではなく、してほしいことを伝える練習
□場面の例① あなたの後輩は取引先へ製品を納品しましたが、後日取引先から数の不足について
連絡がありました。後輩は「自分は確認したし間違っていない」と言います。
「コラム」 互いの勘違いを防ぐために
第3節 休憩時間や宴会などでの雑談
1.雑談の仕方の手順
2.雑談の仕方の練習
□場面の例① あいさつ+ひと言を付けて
□場面の例② 休憩時間や宴会の席で雑談する
第4節 プライベートな話題(自己開示について)
1.自己開示のレベル
2.自己開示が高い話題の仕方
□場面の例① 職場での悩みを相談する
□場面の例② 先輩が話す陰口に巻き込まれないようにしたい
□場面の例③ 知人との雑談について困ったときの対処の例
第4章 就職に向けて
第1節 自分が働ける条件を知る
1.自分の生活と働き方について考えてみましょう
2.自分に合った働き方を考えてみましょう 79
第2節 主治医に思いを伝える(就職に向けて体調を整える)
1.主治医に思いを伝える手順 80
2.主治医に思いを伝える練習 82
□場面の例① いつも体が重く、薬を変えてほしい、あるいは減らしてほしいと思っています。
第3節 就職を心配する家族に自分の思いを伝える
1.家族に自分の思いを伝える手順
2.家族に自分の思いを伝える練習
□場面の例① 家族の思いをくみ取って、話してみましょう
□場面の例② 親から「まだ働かないのか」ということを言われたとき
□場面の例③ 配偶者から「早く働いてほしい」と言われたとき
「コラム」 就職面接の練習(実際の面接場面を想定して)
第5章 就職活動
第1節 ハローワークで相談する
1.ハローワークに行くときの準備
2.ハローワークでの相談の手順
第2節 就職面接の準備と練習
1.身だしなみを整え、第1印象を良くする
2.相手に良い印象を与える態度、姿勢
3.実際の場面を作って面接練習をしてみましょう
第3節 就職面接でよくある質問
1.質問に答えるときのポイント
2.質問の答え方の練習
第4節 障がい者求人枠で就職を考えている人へ 面接における質問とその答え方
1.障がいについて説明するときの手順
2.障がいについての説明練習~具体的な言葉で練習してみましょう~
□場面の例① あなたの障がいの状況について教えていただけますか
□場面の例② 調子が悪くなるとどのような症状が出ますか
□場面の例③ 通院はしていますか
□場面の例④ 会社はあなたにどのような配慮をすればいいですか
「コラム」 自分らしく生活したり働いたりすることができます
第6章 職場で役立つコミュニケーション練習(応用編)
第1節 初めての職場で自己紹介(実習や就職にて)
1.職場での自己紹介の手順
3.職場での自己紹介の練習
□場面の例① 職場での自己紹介
第2節 仕事での指示がうまく聞き取れないとき、理解できないとき
1.相手の指示が聞き取れないときの対応練習
□場面の例① 相手の声が小さくて聞き取れないとき
□場面の例② 指示の内容が理解できず、もう1度確認したいとき
□場面の例③ 指示の内容があいまいな表現だったとき
第3節 報告や質問をしたいが、声を掛けづらいとき
1.声を掛けづらいときに報告や質問をする練習
□場面の例① 上司がとても忙しそうにしているとき
□場面の例② 上司は来客中だが、すぐ確認したいことがある場合
□場面の例③ 上司がなぜか不機嫌になっているとき
第4節 仕事で注意されたことへのいろいろな対処方法
1.自分はしていないのに、他人がしたことで注意されたときの対応練習
□場面の例① 他人がしたことで注意された
2. 2人の上司から異なる指示があったときの対応練習
□場面の例① 具体的に報告する
第5節 職場での雑談で困ったとき
1.困ったことと、その対処方法
□場面の例① プライベートについて根掘り葉掘り聞かれたとき
□場面の例② 上司からよく冗談を言われるが、うまく返せない
□場面の例③ 社員同士の派閥争い
□場面の例④ 自分の全く知らない話題になったときどうする?
第7章 上手な気分転換、仕事のストレス解消法
1.対処法を一緒に考えてみましょう
□「仕事をしすぎてしまい、がんばりすぎて疲れるのですがどうしたらいい?」
□「職場に苦手な人がいるんですが、どんなふうに接したらいいですか?」
□「仕事していると自分に不甲斐なさを感じるときがよくあるんだ。どうしたらいいかな?」
□「ときどき睡眠がうまくとれないときがあるんだ。どうしたらいい?」
□「会社での人間関係にストレスを感じたときどうする?」
[巻末資料]仕事をするときの心得~作業ミスをなくすために
[支援者の皆さんへ]支援する側のコミュニケーションスキルとは
おわりに
謝辞
SST関連参考図書
SST参考ウェブページ
著者執筆履歴
著者・北岡祐子
就労移行支援事業 (創)シー・エー・シー所長
精神保健福祉士
精神保健福祉の仕事に携わって約30年。主に精神障がいや発達障がいのある方々の就労及び生活支援に携わってきた。
1990年米カリフォルニア州の地域精神保健福祉研修(地域生活・就労支援、ケースマネジメント、州立病院にてSST、コンシューマー・セルフヘルプセンター、ピアカウンセラー養成研修等)での経験が仕事の大きな礎となった。特にSSTの学びは働く力をつけるための有効なツールであることを実感。
現在は就労移行支援事業(創)シー・エー・シー所長。精神保健福祉士。社会活動として日本更生保護協会の保護司SST研修を担当するなど全国で講演活動も多い。1968年東京生まれ、島根大学教育学部卒、現在神戸市在住
『本人・家族のためのSST実践ガイド』『現代版 社会人のための精神保健福祉士』などへの執筆がある。