キャリアコンサルタント試験に一発合格。相手に寄り添う力が付き業務に役立つ本ーご感想より
【試験対策の参考図書】初挑戦で合格。試験対策に参考にした本の中に『仕事だいじょうぶの本』
このほど行われたキャリアコンサルタント試験に初挑戦で合格した山本まみさん(33=仮名)。試験対策に参考にした本の中で、『仕事だいじょうぶの本 職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK』(北岡祐子・著)が役立ったと聞き、その理由などについて詳しく伺ってみました。
編集室 このたびは、小社の『仕事だいじょうぶの本』(北岡祐子・著)をお読み頂きありがとうございます。
キャリアコンサルタントとは国家資格(厚労省)で、キャリアコンサルティング、つまり、働く人の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行う専門家のことですね。
▶厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting.html
その試験を受けるにあたって、『仕事だいじょうぶの本』も参考になったということですが、そもそも選書頂いたのはどのような理由からなのでしょうか。
【選書の理由】過去問だけでは理解しにくいメンタルヘルスなどの対応法。生の声や気持ちが載っている本を探していた
山本 試験対策としては、養成講座に加え、SNS上のコミュニティ、オンライン講習、過去問演習等で自学自習していたのですが、メンタルヘルスなど、こころの病に関わる問題がどうしても実感を伴って理解できなかったんです。
そもそも、キャリアコンサルタント試験を受けようと思ったのも、今の仕事で管理職になり、部下や同僚との質問や会話で、相手の気持ちに寄り添う力が必要だと実感したからで、転職や異動などキャリアに悩む相談を受けたときに、その人に向き合える知識を持ちたい。しかし、私も相手も伝えるコミュニケーションは苦手で、自分の経験や会社側の意見をその人にぶつけてしまう。どうしても、うまくいかない。それが嫌だったんです。
ところが過去問で学ぶだけでは、仕事で心を病んだり、人間関係でつまずいたりという相談を受けても、実感を伴って理解できない場合が多いんです。こころの病で悩む人の生の声や気持ちが分かりにくい。
実際に、実技試験においては、例えばうつ症状で仕事を辞めたい、職場での人間関係で相談されたなどのケースもあるんですね。そのようなケースについて具体的に学べる本はないかなあと探していて、この本に出合ったのです。
編集室 確かに、「職場の人間関係について相談したい」「あいまいな指示を受けたので質問したい」など、掲載しているコミュニケーションの課題とその解決方法は、全て実例を取り上げて練習できるようにしているのがこの本の大きな特徴です。
【感想】当事者の生の声で「このような簡単なことに難しいと思っているんだ」と気付き日常の業務にも生かせている
山本 この本は、取り上げている内容が全て、当事者や支援者、事業者の皆さんの実際の体験や声によって構成されていて、しかも難しい表現もなく、イラスト中心なので直観的に理解できます。
あらためてこの本の中で当事者の皆さんの具体的な声を読むと、なるほど「こういうようなことでつまずいているんだ」とか、「このような簡単なことに難しいと思っているんだ」という気付きになるんです。
メンタルなことって、普段、まわりに悩んでいる人がいても気付きにくい。ですから、日常の中でイメージしにくいことなんですね。
そういった中で、この本を読んだら、具体的に当事者の声で綴られているので、イメージしやすく理解しやすかった。その点、試験はもちろん、日常の業務でもとても役に立っています。
編集室 本書の著者の北岡祐子さんは、30年にわたって、心を病んだ人たちの生活・就労支援に携わってきた現場の人。これまでの経験や当事者の皆さんの実例を盛り込んだ本ですから、その点が役に立ったという評価を頂くのはとても嬉しいです。
では、具体的にどのページをどのように役立てて頂けたのかを教えて頂けますでしょうか。
【役立つポイント1】「多様性を認める」ことの職場への好循環を実感を伴って理解できたー第1節 私たちにとって「働く」とは(P14)
山本 本の冒頭で「働く」ということについて、基本的な点から書かれているので、あらためて働くとは何かということを再認識する上で役に立ちました。
中でも、(2)【多様な人たちと働くことによる利点 会社の皆さんへ】では、「多様性を認める」ことが結果的に、例えば、「指示内容が明確になり仕事全体のミスや行き違いが少なくなった」など具体的に書かれていて、職場にとってどのような効果があるのか、ということを実感を伴って理解できました。
【役立つポイント2】自分にとっては当たり前が相手にはそうではない。相手に寄り添って考えられるようになったーこんな指示を出されたときに難しいと感じた(P16)
山本 ここでは、仕事で困ってしまった指示について、事例と、その理由について紹介されています。
職場で相談を受けたときなど、私の場合、「相手がその相談内容のどこを難しいと思っているのか」ということを理解するまでに時間がかかってしまったり、腑に落ちないということがあったりするのですが、ここに書かれていることを読むと、「なるほど、そういうふうに考えるのか」と理解できるのと同時に、解決方法まで書かれているので、とても役立つページでした。
例えば「自分でやり方を考えなさい」という指示も深く考えずに出してしまうのですが、相手はどうしたらいいのか分からず不安になってしまう。そういう場合は、「具体的な指示」を出すことで安心して仕事に取り組むことができる、などです。
この本を読むと、自分にとっては当たり前だと思っていることが、そうではないということが分かり、相手に寄り添って考えられるようになりました。
【役立つポイント3】相手からのSOSに気付くと同時に面談時に配慮すべきことが分かるーコラム SSTや支援を受け現在働いている人に聞きました(P41)
山本 「生活面で気を付けていること」「職場内で気を付けていること」「職場で困ったときにしてもらって良かったこと」「職場の配慮で良かったこと」「職場にコミニケーションで配慮してもらって良かったこと」について具体的に当事者の方の声が載っています。
ここは役立ちました。例えば職場の日報などで、部下や一緒に働く人からのSOSが分かると同時に、すぐに面談するきっかけになると思います。更に、面談時に何に配慮したらいいのかが分かります。
【役立つポイント4】仕事への向き、不向きを本人が自身で気付き、理解してもらうためのサポートに役立つー第1節 自分が働ける条件を知る(P78)
山本 キャリアコンサルタントの場合は、本人がどういう仕事に向いているか、また不向きかということを、本人が自身で気付き、理解してもらうためのサポートが非常に重要になると思います。
その際に、例えばハローワーク等でもダウンロードできるジョブカードがありますが、それを書いてもらう上でもこのページがとても役に立つと思います。
世の中には、必ずその人に合う仕事があります。ですから、ジョブカードなどを使って自分の気持ちや、思いや能力などをしっかりと相手に伝えることが重要になります。そのあたりを隠して就職すると、先々で長続きできないので、本当に自分に合った仕事に出合うためにも、P78からの表を埋めておくことは重要になると思いました。
【役立つポイント5】自分自身のメンタルの状態をまとめて、自分自身もこころの調子に気付くことができるー第2節 主治医や支援機関にに思いを伝える・相談する(P80)
山本 このページは書き込めるシートになっています。そして、各項目は決して「精神障がい者用」というわけではなくて、産業医に相談したり、心療内科にかかるというときに、自分自身のメンタルの状態をまとめて、自分自身も体調に気付くことができるので役に立ちます。また会社側の人も、メンタルの調子をヒアリングするときに役に立ちます。
編集室 細かい所まで読み込んでいただいていて、逆に、こちらもそういう活用をしていただけるんだと気付くことができました。
【まとめ】試験に合格するだけでなく、キャリコンとして日常の仕事に役立つ
山本 この本には、具体的なコミュニケーションのコツが載っています。この他にも、「なるほど」と思えるケースが多く、一般的に私たちが「あたりまえ」「普通」と思っているようなことが、実は難しく感じる人がいて、離職につながってしまうということに気付きました。
単に試験に合格するというだけでなく、キャリアコンサルタントとして今後、日常の仕事に役立てていく上で大いに参考になる本だと思います。
編集室 試験にチャレンジすることで、キャリア相談に加え、部下や同僚、お客様との会話で「この人の話の本当の意図は、どこにあるのだろうと俯瞰して考えられるようになり、自信をもって営業の仕事に取り組めるようになった」という山本さん。
貴重なお話をありがとうございました。