お母ちゃんとの約束

【児童向けの本】戦後80年を考える企画にこの本「生きる力」「家族の絆」伝える『お母ちゃんとの約束』いっちゃんとキヨシちゃんが歩いた満州五五〇キロ

お母ちゃんとの約束

子どもだけの引き揚げ 体験の実話。戦争の悲劇とそれ を乗り越えた「生きる力」「家族の強い絆」を分かりやすく伝える貴重 な証言

終戦から1年後、旧満州から故郷の静岡までを、 10才と6才、2人だけで引き揚げてきた姉弟がいました。

「キヨシちゃんの手を絶対に離してはいけないよ」

お母ちゃんとの約束を守って、姉のいっちゃんは、弟の キヨシちゃんの手を引き、果てしなく続く中国の大地 を、一歩また一歩と歩き続けたのでした。

戦後80年という節目を迎える今年、子どもだけの引き揚げ 体験の実話『お母ちゃんとの約束』は、戦争の悲劇とそれ を乗り越えた「生きる力」「家族の強い絆」を描く貴重 な証言。

戦後80年。戦争や平和教育、歴史に関連した コーナーにぴったりな一冊です。

戦争の教訓を次世代に伝える、平和への願いが詰まった 一冊。

ぜひ多くの方々に手に取っていただきたい本です。

お寄せ頂いた感想のはがき

シンガポールでインターナショナルスクールに通う小5年児童からの感想

僕がこの本を読むきっかけは、母が「辛いかもしれないけどこの本は読んでほしい、というか読まなくちゃいけないと思う。」と言ったからだ。
僕は2年半前まで北京にいた。
いっちゃんが居た場所も北京からそう遠くはないし、何より僕が居た頃は反日運動が激しくて、日本大使館の前ではデモが行われていたから、いっちゃんたちの気持ちは少しだけ身近に感じられると思っていた。
でも本を読んでいくうちに、あまりにもつらすぎて、ひどすぎて、僕はどんどんどんどん気が滅入っていった。
母には「まだ読まなきゃだめ?」とも言った。
でもそう言いながら読まなくちゃいけないんだってことも分かっていたと思う。
僕は戦争が引き起こす悲劇を知らなくちゃいけない。
母は戦争を繰り返さないために歴史を勉強しろといつも僕に言う。
お母ちゃんを失ったいっちゃんの絶望や、いっちゃんが引き揚げの時に感じていたと思う緊張感と恐怖感はきっと僕には分からない。分かってしまうほうが怖いようにも思った。
僕はきっとパニックになる。いっちゃんに申し訳なく思った。
こんな思いを別にいっちゃんがしなくたっていいじゃないか。不公平だって思った。
あとがきでいっちゃんが引き揚げた後も色々な問題にぶつかり辛い体験をしたことを知った。
でもいっちゃんは「今、幸せです。感謝しています。」って書いていた。
なんでこんな風に言えるのかよく分からない。でも、こんな風に言える理由は、お母ちゃんがいっちゃんの手を一晩中ギューっと握って「いっちゃんのことが大好きだよ。大切だよ。」っていう愛情をいっちゃんに残してくれたから、いっちゃんは辛いことを経験しても「幸せです」と言えるし、自分の子供にも孫にも愛情をあげることができるのかなぁと思った。
だからいっちゃんのお母ちゃんはすごいと思うし、「ありがとう」と伝えたいと思った。
いっちゃん。僕よりも70歳以上も年上だけどいっちゃんのママはすごいねって思います。
僕はいっちゃんの本を何度も読めるほどまだ強くないけれど、世界が平和になるように自分のできることをやっていこうと思う。

もし出来るなら、英語の翻訳を出してほしいです。そうすれば、今の学校の友達にも読んでもらえるから。
よろしくお願いします。
つらかったのにこの本を書いてくれてありがとう。

●児童のお母様からもお手紙を頂戴致しました。

現在、シンガポールでインターナショナルスクールに通う小学校5年の男の子です。
両親ともに日本人で国籍も日本です。
父親の仕事で4歳で日本を離れ、上海と北京で5年半を過ごし、その後シンガポールに移住し現在に至ります。
あまりの残酷さに一旦は読むことを放り投げてしまいましたが、ボランティアでお会いしたおじいちゃんの話(日本人ですが戦時中にマレーシアに逃げて現在はシンガポールの老人ホームに入っていらっしゃいます。彼は自分のお母様の生死を未だ知らず、「お母さんに会いたい」と何度も言っていたようです。)が契機となり、また読み始めたようです。
つらい内容でしたが素晴らしい本に出会えたと思いました。
ありがとうございました。

●NHKドラマ「どこにもない国」の原作『満州 奇跡の脱出』の著者 Maruyama氏からも感想をいただきました。

「『お母ちゃんとの約束』は実に簡単に、分かりやすく、素直で率直に書かれてあることが御本の魅力と素晴らしさだと思います。出来るだけの多くの方々に読んで頂きたい御本で、特に若い方々が読むべきだと思います。」

maruyama

“It’s beyond my words to describe your mother’s courage and determination – I was so astonished to find out what your mother had to go through when she was only 10 years old. Your mother and my mother displayed so much fortitude …I must say there were undoubtedly many strong-willed ladies during that trying time in Manchuria. Both our mothers went through such hardships in Manchuria and against all odds returned to Japan, your mother responsible for protecting her little brother and my mother caring for four of us children. How thankful I am! It is evident both of our sweet and gentle mothers in fact possess true grit.
I am doubtful that any present 10-year old child can survive what your mother has experienced. I hope your book will be read by as many people as possible, especially younger generations. The great thing about your book is that it’s very easy to follow as it’s simple and clear. Another special thing about this book is that each family member contributed on making this book and it’s a very rare product.
I have no problem if you share my father’s story and what I have done to tell it since I want as many people as possible to know about the tragedy in Manchuria. Needless to say, wars need to be avoided because innocent children, civilians, women and elderly people are the ones who bear the brunt of the suffering of it. We must let the people around the world, especially the young generation, know the consequences of wars, and I’m happy if I can contribute toward world peace by sharing my story. “

邦訳

当時10歳だった郁江お母様の勇気、精神力、意志、信念 - 信じ難い素晴らしい偉業を成し遂げたことに驚く他、言葉がありません。望月郁江様の勇気や自分自身の母の勇気を振り返って考え、あの満州の悲劇の頃には勇気のあるしっかりした素晴らしい女性たちがいらっしゃったのだなあと思う他ありません。泉さんのお母様と自分の母は満州で信じられない苦労をされ、それを乗り越えて、泉さんのお母様の場合は弟のキヨシ君を守りながら、私の母の場合は我々四人兄弟を守りながら、日本に引き揚げたことを回想すると、感謝の言葉がありません。泉さんのお母様も、自分の母も、何だか格別な勇気をその優しさの中に隠している気がしてたまりません。

今の10歳の子供たちが郁江様の様な勇気を発揮できるとは全く信じられなく、「お母ちゃんとの約束」はできるだけ多くの若い方々に読んで頂きたい物語です。「お母ちゃんとの約束」は実に簡単に、分かりやすく、素直で率直に書かれてあることが御本の魅力と素晴らしさだと思います。出来るだけの多くの方々に読んで頂きたい御本で、特に若い方々が読むべきだと思います。言うまでもなく、戦争は絶対避けるべき事で、多くの犠牲者は必ず罪のない幼児、民間人、女性、老人ばかりです。さらに、御本のもう一つの魅力は、泉様を始め、ご家族全ての皆様が協力、貢献して完成された傑作である事で、非常に珍しい宝物であると思います。

自分としては満州の悲劇を、出来るだけ多くの日本人、また世界の人々に知っていただくことに大いに歓迎するので、父のことや私のことを紹介してくださることには全く問題ありません。特に若い日本人、更に世界の若い方々に、戦争の恐ろしさ、悲惨さ、そして一番犠牲になるのは罪のない幼児、子供、女性、お年寄りなどなどである事実を伝えるべきで、自分が著書で述べた事実がこれからの平和に貢献できれば、それほど嬉しいことはありません。

■原作者 望月郁江(モチヅキ イクエ)プロフィール

望月郁江さん

1936年〜2019年。静岡市生まれ。1943年国民学校入学を機に、設計技師だった父親の仕事の関係で、父、母、妹、弟と満州の通化市に渡る。9歳で終戦をむかえ、翌1946年9月3日、10歳の時に日本へ引き揚げるため、6歳の弟を連れ、2人で通化市を出発。故郷の静岡に着いたのは、5週間後の1946年10月13日だった。その後、3人の子供、5人の孫に恵まれ、現在は夫と共に静岡市で平穏に暮らした。

■著者 望月 泉(モチヅキ イズミ)プロフィール

望月泉さん

1966年、望月郁江の長女として静岡市に生まれ育つ。アメリカの大学院で中等教育学を学び、卒業後はアメリカの州立大学で日本語を教える。国際結婚をし、夫の転勤でワシントンDCを拠点にインドネシア、カナダ、パキスタン、中国などに駐在。幼い頃から聞いていた母親の引き揚げ話を、1冊の本にまとめるという長年の思いを実現。2児の母。