特別支援学校で教科書採用も!働くための最強アイテム、コミュニケーションスキルを身に付ける練習法紹介の本
『仕事だいじょうぶの本』職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOKの著者・北岡祐子さん
医療法人尚生会 就労移行支援事業・就労定着支援事業 (創)シー・エー・シー所長で精神保健福祉士の北岡祐子さんが、6月11日(日)にSST普及協会近畿支部が開催する経験交流ワークショップ2023に登壇しました。
当日は、30年にわたり、就労・生活支援を行ってきた北岡さんが、これまでの経験を一般の人にも分かりやすく伝えて、活用してもらいたいとまとめた著書『仕事だいじょうぶの本〜職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK』(ペンコム・刊)をベースに、わかりやすくSST(ソーシャルスキルトレーニング)を伝授。
本ブログでは、北岡祐子さんに「働くために必要なコミュニケーション」の基礎について教えてもらいました。
著書は、多くの就労移行支援事業所やハローワークで活用されており、複数の特別支援学校で教科書にも採用されています。
そんな『仕事だいじょうぶの本』から、本記事の中盤以降では「練習の方法」「あいさつ」「相談するスキル」を抜粋して掲載しています。ぜひご覧ください。
働くために必要なものはコミュニケーション
30年にわたり、就労・生活支援を行ってきた北岡祐子さん。いろいろな働きづらさ(精神障害や発達障害、引きこもりなどの経験)のある方たちの就労支援を行う中で感じたことは次のようなことでした。
●仕事のスキルは、ある程度は身につけることができる
●しかし、働く力が発揮されない大きな理由のひとつは、コミュニケーション・スキルがわからないということ
具体的に、利用者の皆さんからはこのような声がありました。
・「わからないことがあっても、2回以上質問できなかった」
・「『もっと早くして』と言われたが、どうしていいかわからなかった」
・「職場の皆の輪の中に入りたかったが、どうしていいかわからなかった」
・「相談の仕方がわからなかった」
・「うまく仕事ができなくても、言い訳をしてはいけないと思っていた」
つまり、「コミュニケーションの仕方がわからなかったため、ひとりで悩み、対処や解決方法がわからず、苦しまれた方がほとんどだった」のです。
そこで北岡さんは、思いました。
「コミュニケーションの方法・コツさえ知れば、練習して、スキルを使うことができるようになる!
働くコミュニケーションを身に付ければ、自信を取り戻し、前向きに働き充実した人生を送ることができるはず!
ならば、まずは私がコミュニケーション・スキルを学ぼう」と。
この時の思いを、著書では次のように書いています。
「私は約30 年にわたり、精神および発達障がいのある人たちの『働く』ことを支援してきました。1990 年に米国で地域精神保健福祉を学ぶ機会があり、そこでSST を実際に受講し、これはすべての人に役立つと実感したのです。
その後、日本で始まった東京大学医学 附属病院精神科デイホスピタルでのSST 研修に参加し、早速、生活・就労支援プログラムに取り入れ、今日に至るまで事業所や利用者さん、ハローワークや企業の方から意見を聴きながら試行錯誤を重ね、現場に即したSST を構築してきました。」(『仕事だいじょうぶの本』P10より)
SSTとは、Social Skills Trainingの略で、社会生活に困難をきたす人に向け、その特性に配慮しながら、コミュニケーションや対処技能を効果的に学習するための方法として開発されました。今や、教育や就労関係、司法分野などにも幅広く活用されている援助技法です。
ぜひ、『仕事だいじょうぶの本』職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOKで声に出して練習し、自信をつけ「働くコミュニケーション」を身につけてください。