おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう

おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう(みんなねっとライブラリー4)

青木聖久

¥1,650

ある日突然「精神障がいがある人やその家族」に。苦悩や葛藤を経て前向きな人生を取り戻していく15家族の軌跡。今、孤立し、追い詰められている人のヒントになる。用語解説付き

在庫あり

おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう

精神障がいがある人や家族の実際の姿や思いが伝わる本を目指しました

おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう

ある日突然「精神障がいがある人やその家族」という立場になることは珍しいことではありません。そのことに大いにとまどい、もがき苦しみ、現状を受け入れることに、多くの時間を費やすことが少なくないのです。いまや生涯を通じて5人に1人がこころの病気にかかるともいわれる時代です(厚労省みんなのメンタルヘルスより)。
しかし、多くの人たちは、精神障がいがある人たちの実際の姿を知る機会がありません。知らないことが偏見を生み出していることもあります。
「精神障がいがある人は、怖い人が多いんじゃないだろうか」
「精神障がいがある人とは、コミュニケーションはとれるのだろうか」
また、精神障がい者と名乗る人による痛ましい事件が起きると、多くの当事者、家族が「世間から白い目で見られてしまう」とつらい思いを抱え、そして「心の病をわかって欲しい」と切に願うのです。

15の家族にインタビューをし家族が歩んできた「軌跡」として紹介

おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう

そこで本書では、精神障がいがある人や家族の実際の姿を、読者のみなさんに伝えるつなぎ役になることを目指し、精神障がいがある子ども・きょうだい・配偶者と人生を共にしてきた15の家族に著者がインタビューをし、家族が歩んできた「軌跡」として紹介しました。
私たちは、自らの人生において、直接体験できることは、たかだか限られています。でも、自分のこととして重ね合わせることができそうな他者の軌跡を、わがこととして追体験することによって、さも、自分が体験したことのように感じることはできます。そして、思いを共有していただきたいのです。

家族の[History]にみなさんの人生を重ね合わせ未来を描いてほしい

おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう

本書ではみなさんが、より追体験(ついたいけん)をしていただきやすくするための工夫をしました。
まず、各話のはじめに[History]として、
「本人が精神疾患に遭遇(そうぐう)したのは、家族自身が何歳の時なのか」
その後、「家族自身が何歳の時に気持ちが軽くなり、前方が見えるようになってきたのか」
そして、「家族自身が何歳の時に、自分の人生を肯定的に捉えられるようになったのか」
などについて記述しています。
15の家族のその時々の年齢を、未来像として、あるいは過去として読者の皆さんの年齢と重ね合わせていただければと思います。

今、孤立し、追い詰められている方々のヒントになれば幸いです

おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう

苦悩や葛藤(かっとう)を経て、仲間や支援者たちとつながることで、明るく笑えるようになり、前向きな人生を取り戻していかれた15人の「家族の軌跡」を、ぜひ知っていただきたいと思います。そのことで、今、孤立し、追い詰められている方々のヒントになれば幸いです。
[用語解説で精神保健福祉の用語と歴史がわかる]
第2章では、本文とリンクした用語の解説と、関連してぜひ知っていただきたいと思われる用語について分かりやすく解説しています。この章をお読みいただくだけで、精神保健福祉の用語と歴史がわかるように工夫しました。

私たち家族会と当事者の真の声

ペンコムの本への感想

ペンコムさんのおかげで、私たち「家族会」の家族と当事者の真の声を発表いただき、こんなに嬉しいことはありません。ご尽力いただいた先生(蔭山、横山、青木)方に、心から感謝しています。

この本に集った方々の心の苦しさとたくましさは、美しい生命の世界を継続させる輝きを保ち、私の命を救ってくれています。

どの哲学書よりも人生の道を照らす本

ペンコムの本への感想

各々の方の体験談は楽しく、また、苦しく共感して読みました。

どの哲学書よりも、私にとっては、人生の道を照らす哲学書だと思いました。

はじめに

前向きな人生を取り戻していく「家族の軌跡」を知ることが、今、孤立し、追い詰められている人のヒントになる

●第1章 15の軌跡

第1話 人生の幸せとは
私は「この言葉」を聞くために生まれてきたのかもしれない

第2話 きょうだいの葛藤
弟としての固有の体験を持つ臨床心理士が醸し出す空気感

第3話 高次脳機能障がいがある夫と
家族や動物を大事にしつつ、等身大で未来を描くイラストレーター

第4話 父として息子の病気に向き合う
「謙虚にして驕らず」、電子機械産業の隆盛期を生きて

第5話 発達障がいがある次男と家族
子育て黄金期に培われた感性 ―他者のやさしさや勇気に敏感に

第6話 わが子を通じて仲間と出会い
幼稚園教諭だった私が息子や仲間から勇気をもらい語り始める

第7話 パートナーと共に明日へ
探検部や営業マンとしての経験を活かしつつ自然学校をつくりたい

第8話 兄の生きづらさと向き合う妹
妹という立場が引き寄せた公認会計士・税理士・精神保健福祉士としての私の自己実現

第9話 母と娘の願い
小学校の先生や平和活動等を通じて得た物事に向き合った生き方

第10話 父のかかわり
教員、農業、囲碁 そして、4人の子どもたちに囲まれた人生

第11話 父と長男。想いを語り合う
人々が安全に、安心して豊かに生きるために自分ができることを追求

第12話 母として妻として
華があり、偉ぶらず 地域に根差した家族会の会長だったわが妻

第13話 兄として弟と向き合う
敬われ・敬うことによって得られる良好な人との交わり

第14話 母と長男、姉と弟
想いの詰まった恩おくりのバトン

第15話 母と娘の体験
家族が体験を話すことで伝わるものがある 伝えることができる

● 第2章 用語解説

● 第3章 つながる

ほんの少しだけ顔をあげて
実際につながる

おわりに
参考文献
索引 巻末

著者・青木聖久(あおききよひさ)

日本福祉大学教授、博士(社会福祉学)、精神保健福祉士。1965年、淡路島生まれ。

1988年、日本福祉大学社会福祉学部卒業後、精神保健福祉領域のソーシャルワーカーとして、慈圭病院(岡山)、関西青少年サナトリューム(神戸)という精神科病院で約14年間勤務。

その後、サポートセンター西明石(小規模作業所)の所長として4年間勤務。2006年より現任校。

2004年に京都府立大学大学院福祉社会学研究科修士課程、2012年に龍谷大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。

主な社会的活動として、全国精神保健福祉会連合会理事、日本精神保健福祉学会理事。

著書は、『追体験 霧晴れる時』ペンコム(2019年)、『障害のある人の支援の現場探訪記』学研教育みらい(2021年)、『精神障害者の生活支援』法律文化社(2013年)、『第3版 精神保健福祉士の魅力と可能性』やどかり出版(2015年)等。

基本情報

・著者:青木聖久
・発売日:2021年12月23日
・価格: 1,650円(本体1,500円+税10%)
・判型 四六判(横127mm×縦188mm×厚さ20mm)
・ページ数 320ページ
・ISBN:978-4-295-40637-2
・Cコード:C0036
・発行:株式会社ペンコム
・発売:株式会社インプレス