子ども時代の記憶や感情とシンクロしてー『静かなる変革者たち』に行政書士の三木ひとみ先生からご感想
「静かなる変革者たち」に登場する「子どもたち」は私自身の過去とシンクロして
『静かなる変革者たち 精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り』にご感想をお寄せ頂きましたので、ご紹介させて頂きます。
読者はがきをお寄せ下さったのは、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の三木ひとみ先生。同事務所ではメイン業務として、現在、生活保護の申請を考えている方をサポートされています。
じっくり読みたかったので、週末の楽しみにして、平日に仕事をすませました。
期待を裏切らず、私自身の子ども時代の記憶・感情とシンクロするところも多く、没頭して読みました。
多様性を尊重する個性豊かな優しい社会へより近付くよう願ってやみません。
法律で弱い立場の人に寄り添う三木先生もまた「静かなる変革者たち」
感想の中に、「私自身の子ども時代の記憶・感情とシンクロするところも多く」とあるように、三木先生もまた、重い過去を背負っています。 幼いころのことを次のように語っています。
私は子ども時代、小中学校の頃の良い思い出、記憶というものがあまりないのです。
多くの児童・生徒にとって、学校に着ていく服を選ぶことが大きなストレスになり得るというのは、よくある話かもしれません。ただ、子どもの頃の私の悩みは、他の子と比べてブランド服やおしゃれな服を持っていないといったことではなかったのです。
小学校中学年頃まででしょうか、自分で服を洗えるようになるまでは、清潔な服を着て学校に行くことができない日も、少なくありませんでした。
昔のクラスメートたちは、もしかしたら単に私をからかっていただけであって、傷つける意図はなかったのかもしれません。
でも、「お前臭いよ」とか「いつ服洗ったの?」といった言葉は、子どもだった私の自尊心を喪失させ、それはそれは、落ち込んだものです。
幼少期にわりと長期間いじめに遭ったことによる負の影響の一つで、私は猜疑心が強くなって人を信用できなくなっていました。
三木先生は幼いころに両親が離婚。教師をしていた母親と2人暮らしするも、その母もうつ病を抱えることになります。
この話を知り、三木先生にはどうしても『静かなる変革者たち』をお読みいただきたく献本いたしました。
この本は、「精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの体験談と座談会」からなります。
「つらい過去とシンクロさせるような本をなぜ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かにここに書かれている体験は、読み進めることができないほどつらい内容もたくさんあります。
しかし、本に登場する4人は、自らの経験をもとに、子ども時代に受けた精神障がいへの偏見を無くしていこう、当事者への医療・福祉を改善していこう、親や子どもも含めた丸ごとの支援を受けられるようにしようと、社会を少しだけでもいいから、前へ進めて行こうと取り組む思いを、飾ることなく等身大で語っています。
三木先生と出会って、幼いころのお話をうかがったとき、先生もまた、本に登場する子どもたちと同じように、体験をバネに社会を少しでも前に進めていこうとされる『静かなる変革者』だと思ったのです。
彼らは芯の強い人間です。彼らは、真の変革者になるのかもしれません
『静かなる変革者たち』の著者・蔭山正子教授は、「考察」(P233)で次のように書いています。
現れた、静かな変革者
子どもであり、支援者でもある彼らは、精神医療という親や自分を傷つけた、嫌な世界にあえて飛び込みました。精神科で働くようになって「おかしさ」に気付き、怒りが表出されるようになったのです。
横山先生が「何か変革していこうという時に怒りというのはあるじゃないですか」と言うように、怒りは変革のエネルギーとも言えるでしょう。
彼らを見ると、内面では激しい怒りを抱いていますが、外面からその勢いを感じることはありません。静かに染み渡るように変えようとしている「静かな変革者」のように見えます。
居続けられる強さはどこからくるのかと言えば、おそらく親への思いなのでしょう。 親に直接的にはできない親孝行を、環境を変えることによって、いつか間接的に母親の生活をよくすると考えています。
彼らは、親が精神疾患であるが故に、親が受けた屈辱、親の豹変、強制的な入院といった、トラウマを経験しています。そのトラウマを乗り越える過程で、人生にとって大切なものを見つめ直していました。
彼らは芯の強い人間です。
彼らは、真の変革者になるのかもしれません。
追加で4冊購入された三木先生。その理由は
この感想をお寄せ頂いた後、三木先生からメッセージが届きました。
今日、『静かなる変革者たち』をAmazonから4冊購入させていただきました✨
大学で行った講義を撮影しているときに、私がこの本を紹介したところ、うちの事務所の若い子たちの目線が、その後ずっと本に向かってしまい注意したら(笑)、「その本ほしいです」と!
あまり本を読まない若い子たちに何が引っかかったのかな~と考えています。
こちらの記事もあわせておよみください。
精神疾患の親をもつ子どもの会「こどもぴあ」の活動を知ってほしいー『静かなる変革者たち』の掲載ページを公開します。(ダウンロードPDFあり)
静かなる変革者たち-精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り(みんなねっとライブラリー2)
¥1,540
精神疾患のある親に育てられ、成長して支援職に就いた4人の子どもたちが体験記と座談会で語る親のこと、家族、支援のありかた
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