心病む夫と生きていく方法

心病む夫と生きていく方法

蔭山正子

¥1,650

あなたはひとりじゃない–ある日、明るく優しい夫が心の病を患った。不安で押しつぶされそうになる妻。座談会や体験談を通して、著者の蔭山正子先生と共に困難や乗り越え方を考えます

在庫4 個

『心病む夫と生きていく方法』
統合失調症、双極性障害、うつ病… 9人の妻が語りつくした結婚、子育て、仕事、つらさ、そして未来
あなたはひとりじゃない

ある日、夫の様子がいつもと違う。
明るく優しい夫が心の病を患った。
仕事に行けず、一日中家にいる夫。
子どもも小さく、これからの人生を考えると不安で押しつぶされそうになる妻。
統合失調症、双極性障害、うつ病…
妻がどのような困難にぶつかり、どう乗り越えてきたのか、そして、どのように変わったのか。
験談と座談会を通じて、ひとつひとつに向き合い、精神障がい者の家族支援研究者 蔭山正子先生(大阪大学大学院准教授)と一緒に考えていきます。

※妻の体験から役立ったこと等、分かりやすい解説付き。読みやすい本です。

みんなねっとライブラリー第3弾は「妻」編
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こころが大切にされる時代に向けて—

「みんなねっとライブラリー」は、公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)監修のもと、生きづらさを抱える本人と家族、きょうだい、配偶者が安心して暮らせる社会をめざす一般向け書籍シリーズです。

家族、当事者、医療、福祉、介護、研究者など、多方面の著者が執筆し、分かりやすく、広く「こころの病」について理解を深めていただきたいという願いを込めています。

「みんなねっと」https://seishinhoken.jp/

※みんなねっとは精神に障がいのある方の家族が結成した団体です。ひとりで抱え込まずに、まずはお気軽にご相談を。

「みんなねっとライブラリー」https://pencom.co.jp/minnanet

目次

はじめに 3

精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会(配偶者の会)   

「配偶者・パートナーの集い」「子どもたちの集い」「結婚・育児について語る当事者会」の

3つの集いを柱に、家族全員を〝まるごと〟支援 / 前田 直  18

「配偶者」ならではの困難さを「集い」で聞き、支援の方法を考え実践 18

「同じ立場の人とつながりたい」─ 配偶者の会が設立されるまで 20

家族の中で唯一当事者との「血のつながり」がない配偶者 22

小さなお子さんを連れて参加しても大丈夫! 24

おとなになった〝先輩たち〟が、未成年の子どもたちへの支援も  25

結婚・育児について語る当事者会も開催 26

コロナ禍のもとでの配偶者支援 ─ リモートで遠隔地からの参加も可能に 27

家族による家族学習会「配偶者版」テキストも完成 28

精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会ホームページ 29

1 語り合う 妻たちのホンネ 30

座談会に参加したみなさん32

「夫が病気」と分かったときのこと 34

病名が定まるまで病院を転々と。不安ばかりのつらい日々 34

とても優しい夫が、突然、人が変わったように 35

今も何をしていいのか分からない。教えてもらいたくて参加 36

逃げ出したい。考えることが後ろ向きばかり。なんとかしたい 37

夫がうつ病になったとき、息子がまだ、6カ月で… 39

発症して17年。夫と本音で話せないつらさ 39

相談先がなく、10年間、夫の病気を1人で抱えこんできた 40

病気を受容する難しさについて 42

私が治してみせる! ヘトヘトになるまで頑張ったけれど 42

病院の先生とお話をするのは、助けになった 44

1番つらかったことは 45

将来への不安。この人と共に行く人生を選ぶことが、正しいのか 45

こんなに大変なのに夫からは文句が 46

子どもを生むという人生にも惹かれて 47

お金の問題、この先どう生きていったらいいのか 48

つらかったとき、誰に相談しましたか どう乗り越えましたか 49

親には理解してもらえず、行政の相談先を探して転々と 50

配偶者の会に出会ったときは、本当にうれしかった 51

誰にも相談しないで、窮地に陥っても踏ん張ってきたけれど 52

「夫と一緒に生きていく」ことの悩みを共有してはもらえない 53

配偶者会は踏み込んだ相談ができる場所 54

友人、行政の窓口…相談は手助けになった 55

自分の思いを言うだけで、気持ちがぐっと落ち着く 56

自分がオープンに話すことで、初めて「身近な病気」だと知った 57

2人の未来。どう生きていくのか 59

私が変わろう!  すると夫が変わった 59

どんよりとした夫に引っ張られないように自分をリセット 61

私が変われたのは、夫のおかげかな 62

ここから先のことを見据えていきたい 62

夫の収入に頼らなくてもやっていける見通しを立てる 63

ポジティブだったころの自分を思い出すようにしている 64

とりあえず、子どもが卒業するまではこのままで 65

一方で、自分の人生を歩みたいと思っている。揺らいでいる 66

子どもに、昔お父さんは優しかったのかと聞かれて 66

夫の病気とうまく付き合って生きていく 68

「子どもを上手に育ててくれたね」って夫からうれしい言葉 69

2 妻たちの体験談 現在、過去、そして未来 73

1 互いの肩を抱き、涙枯れるまで泣き尽くした夜。

そこから私たちは前を向いて歩き出すことができました  74

■はなさん

「このままでは自殺してしまう」 診断結果はうつでした 76

夫は40代、中間管理職。頑張り続けた夫の心が限界に 77

どのしょうゆを買ったらいいのか分からない! 78

ただ寝ている夫に腹が立って、ストレスも頂点に。そんなとき 79

夫はうつ病なんだと理解しようと努力していきました 80

これから私たちはどうなるの? 不安に押しつぶされそうでした 81

お互いの肩を抱き、泣き尽くした夜 82

両親に打ち明け、助けを求めました 83

新たな1歩、「配偶者の会」への参加 84

人前で話せた! 85

話すことの大切さを実感 85

母の支え。誰でもいいからSOSを出しなさい 86

自分自身が変わらなきゃ 88

そして、不安のなか職場復帰へ 89

夫の病気が教えてくれたこと 91

私の経験が、いつか、誰かの光りとなる、そう信じて 92

2 病気の夫からは暴言、義母からは責めたてられ。妻の立場はこんなにつらいのか。94

■小森めぐみさん

夫の病気を知ってから17年。何度も気持ちを立て直してきましたが 96

出会いと結婚。幸せな新婚生活 97

妊娠。幸せの絶頂期に夫の体調に異変が 97

子育てに悪戦苦闘するなか、初めて知らされる夫の病歴 99

統合失調症、パニック障害、うつ…会社も休みがちに 100

18年余り勤めた会社を退職 101

障がい者枠で職探し。就職するも、病状悪化、休職、退職 102

「家族」だからこそ、夫の病気を受け入れることが難しく 103

夫のことばに一緒に頑張ろうという気持ちはどんどん落ちていきました 105

「妻としてひどい態度だ!」突然、義母からの責め立てる電話が! 107

妻の立場はこんなにつらいのか。もう、やり切れない 108

「出ていけ、家政婦を雇ったほうがましだ」─そのころのメモ 109

子どもとの関係─子どもが小さいころは3人で家族旅行もしました 111

中学受験「僕はこんなに頑張っているのにお父さんは!」 112

息子は今、自分の置かれた状況を受け入れているようです 113

病気になって良かったことなんて1度も考えたことがありませんでしたが 114

1番大変だったこと。それは感情を共有できないこと 115

仲間がいる、1人じゃないと思えることが心の支えに 116

3 暴言、暴力、浪費。それでも別れたくない。夫を見捨てるのはいけないことに思えました 118

■近國いるかさん

複雑な家庭環境の悩みを聞いてくれた誠実な高校の先輩 120

結婚。その少し前から気になることが… 121

夫の入院。義母からのプレッシャー 122

入退院を繰り返し。「おまえのせいで病気になった」と夫から責められ 123

誰も助けてくれない。ふっと生きているのが嫌になり 125

別れたくない。夫を見捨てるのはいけないこと 126

妊娠に大喜びの夫。一方で行動がどんどんエスカレートしていき 127

子どもの誕生。「大丈夫だよ、きっと助かる」夫のはげましがうれしく 128

3カ月遅れで子ども退院。抱っこして喜ぶ夫 129

外泊中に数百万円の貯金を使い果たし 130

初の別居。義父母と共に夫の病気と向き合えるように 131

44回に及ぶECTで夫の記憶はバラバラに 132

子どもの「特性」を理解できず、こぶしで顔面を殴ることも 133

子どもと2階に逃げ込んで警察を呼びました  134

抗うつ剤で躁になった夫は、手が付けられなくなり 135

入院、保護室に隔離。私もダメなことにはノーと言えるように 137

子どもの「発達障害」を理解することで、親子3人の関係は劇的に良くなっていきました 138

かつての「誠実な高校の先輩」の姿が現れてきた 139

この病気は周りの理解と支援が必要です 140

そして、今。 141

4 病気を抱え副作用の強い薬を飲みつつ、ギリギリまで働いてくれた夫は、

「同士」かもしれない 142

■にき あんなさん

出会い、結婚、出産 ごく普通の家族でした 144

娘の緊急入院 難病を発症 145

この日も夫は仕事に戻って行きました 147

夫の父の急逝。遺産相続問題をきっかけに夫は 149

初診のころの夫のようす(メモより) 150

多動多弁、目つきも険しく。そして、初めての精神科受診 151

派手な服を着た大きなババールのぬいぐるみを抱えて 152

「静か」そして「上がる」を繰り返し 153

強い薬も効かず病状はますます悪化。薬は何種類にも増えていきました。

当時、夫の姿はまるで映画「ハルク」のようでした 155

娘の緊急再入院  157

マンションから1戸建てへ 158

引っ越しで急変する夫 「こんな人とこれからも暮らせるのか」突き刺さる母のことば 159

閉鎖病棟への入院 160

面会。夫はすっかり弱々しくなっていました 161

学校は楽しくない。毎朝、吐き気がする。娘の告白 162

閉鎖病棟を退院。わが家へ 163

退院後、2カ月以内に復職。新しい医師と二人三脚で病状安定 164

「何とか娘が高校を卒業するまで退職を伸ばしてください」と懇願 166

退職 障害年金受給 167

娘が就活うつに 167

娘の就職。うつと向き合いながら 169

私たち家族を支えてくれた人たち 169

これから ─ 私が先に死んだ場合のこと 171

躁うつ病患者を描いた映画 173

そして、今。 174

3 考察 まとめ 175

体験談と座談会から見えてきたこと

精神疾患を患う夫の妻が体験したことと、必要な支援について / 蔭山正子  176

1.妻が体験したこと 179

病気に戸惑う/精神疾患は理解するのが難しい病気/病気にどう対応すればいいのか/妻に生じる精神的負担/経済的不安/夫との関係がぎくしゃくする/親族に助けられた人、傷つけられた人/妻を救ってくれた転機となった出会い─主治医、カウンセリング、配偶者会/幾度となく考える「離婚」/いつまでも「ケアラー」でなく「パートナー」で/病気を患う夫と生きて得たもの/これからの「私」の生き方

2.現状の支援やサービス 201

精神疾患のある夫に関する相談/制度・サービス/家族相談

2.これから必要な支援 204

疾患と対処を理解できるような支援/配偶者自身の相談にのる/配偶者同士が話せる場/子ども自身が話せる場/家族の関係性への支援

おわりに 210

本書で紹介しているウェブサイト 214

みんなねっとライブラリー 215

著者・協力・監修 216

奥付 217

著者・蔭山正子

大阪大学高等共創研究院 教授/大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻(兼任)/保健師。

大阪大学医療技術短期大学部看護学科、大阪府立公衆衛生専門学校を卒業。病院看護師を経験した後、東京大学医学部健康科学・看護学科3年次編入学。同大学大学院地域看護学分野で修士課程と博士課程を修了。

保健所精神保健担当(児童相談所兼務あり)・保健センターで保健師としての勤務、東京大学大学院地域看護学分野助教などを経て現職。

主な研究テーマは、精神障がい者の家族支援・育児支援、保健師の支援技術

→著者・蔭山正子先生のページ

協力・前田直
杏林大学保健学部作業療法学科/助教/作業療法士/保健学修士
2003年北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科作業療法学専攻卒業後、作業療法士として杏林大学医学部付属病院リハビリテーション室で約10年間勤務。2013年より現職。
2015年に杏林大学大学院博士前期課程修了。
主な社会活動として、全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)理事、精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会代表。主な研究テーマは、上肢機能障害の評価、精神障がい者の配偶者支援。
協力・精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会(配偶者の会)

「配偶者」ならではの困難さを「集い」で聞き、支援の方法を考え実践

精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会(以下、配偶者の会)は、精神疾患を抱える当事者と生活を共にする配偶者や、恋愛関係にある人に焦点を当て、生活上の困難さを聞き、支援の方法を考え、実践している団体です。

→配偶者の会 https://seishinpartner.amebaownd.com/

※お問い合わせも、上記のウェブページからどうぞ。

・著者:蔭山正子
・発売日:2020年11月2日
・定価:本体1,500円(税別)
・判型:四六判(横127mm×縦188mm×幅17mm)
・ページ数:216ページ
・ISBN:978-4-295-40474-3
・発行:株式会社ペンコム
・発売:株式会社インプレス

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お詫びと訂正

『心病む夫と生きていく方法』P32-33のイラストに誤字がございました。

お詫びして訂正いたします。

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読者の皆さまはじめ、みなさまに大変ご迷惑をおかけいたしましたこと、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

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