「スマホで作るビジネス動画」脱・初心者!8つのチェックポイント
初心者を脱して、ワンランク上のビジネス動画を作る方法は?
今回の「スマホでのビジネス動画の作り方」インタビューでは、「初心者を脱して、ワンランク上のビジネス動画を作る方法」について聞きます。
答えてくれるのは、『iPhoneで作ろう ビジネス動画の教科書』の著者、オリカワシュウイチさん。オリカワさんは映画制作体験プロデューサーで、これまで、企業向けから子どもワークショップまで1,000人以上の初心者の皆さんに映像制作指導をされています。
スマホに高解像度・高機能のカメラが標準装備され、動画編集も様々な加工が簡単にできる無料アプリもある今、動画制作はとても身近なものになりました。
企業や自治体、ショップの広報・広告・販促に使うビジネス動画の活用でも、社内で自ら動画を作って発信するということも当たり前になってきました。
しかし、「なんだかパッとしない」「もうちょっとちゃんとしたい」と感じる方も多いと思います。
オリカワさんは、「8つのチェックポイントで確実にレベルアップしますよ」とのこと。ぜひ、お読み下さい。
聞き手:ペンコム編集部
▶『iPhoneで作ろう ビジネス動画の教科書』
https://pencom.co.jp/product/20200710
▶『1分間PR動画ラクラク作成ハンドブック』
https://pencom.co.jp/product/4844377299
▶オリカワシュウイチ 著者ページ
https://pencom.co.jp/archives/writer/orikawashuichi
【チェックポイント1】動画編集で余計な装飾をしていないか?
初心者動画から、”ちゃんとしたビジネス動画”にステップアップしていくときに必要なのは、自分の動画を冷静に判断する力なんです。
しかし、自分では自分の動画の良し悪しは分かりませんよね。
そこで、ここでは『自分の動画を自分でチェックする8つのポイント』をご紹介したいと思います。
どこがどう問題なのかを自分で見つけることができれば、必ず上達するはず。
まず初めにお伝えしたいことは、編集で余計な装飾をしていませんか?という点です。
「ちゃんとした動画を作ろう」と思うと、多くの初心者の方が陥りがちなのは、編集で「装飾しちゃう」こと。
動画編集アプリの進化も早くて、面白い加工などの機能も目白押し!
「この機能を使えばほら、こんなこともできる」という情報も溢れています。
映像にあれこれ加工を施したり、文字に多彩なフォントを使って、色をつけて動かしたりしようとする。
「凝った編集を目指す」と言ってもいいでしょう。
これがかえって、素人っぽい動画になってしまうんです。なぜなら、上手な人は余計なことをしないから。
「ちゃんとしたビジネス動画」というのは、装飾に溢れたものではなく、「きちんと見てもらえて伝わる動画」のこと。
そしてそういう動画を作るには、余計な装飾はむしろ邪魔をしてしまうんです。
まずは、このスタンスからスタートしてみてください。
動画編集の時、こんな風に自問自答してみて下さい
●加工するときは、「何のため?本当に必要?」を常に自問していますか?
□「色味を変える」→何のため?本当に必要?
□「コントラストを強くする」→何のため?本当に必要?
□「キラキラとハートを飛ばす」→何のため?本当に必要?
□「絵文字を入れる」→何のため?本当に必要?
●テロップが邪魔をしていませんか?
残念な動画は、かなりの確率でテロップが残念です。
テロップが動画の邪魔をしているのです。
一般的な動画では、基本的な機能しか使わないのがオススメ。
基本的な機能は、どの編集アプリにもついています。
ですから、編集アプリは「どれでもいい」ともいえます。
【チェックポイント1】編集で余計な装飾をしていないか
□加工するときは、「何のため?本当に必要?」を常に自問しているか?
□テロップが邪魔をしていないか?
【チェックポイント2】 見たいと思ってもらえる工夫はできているか?
でもビジネス動画は、「相手が見たいと思う工夫がされているか?」という視点が重要です。
例えばこんなタイトルのついた動画があったらどうでしょうか。
「6月のイベントのご紹介」
「○○○(製品名)新発売」
動画の内容が上手に作られていたとしても、そもそもクリックして見たいとは感じないかもしれません。
一方、先ほどの動画をこんなタイトルに変えたらどうでしょうか。
「親子で学ぶ○○、オンライン講座を開催します(スマホでOK)」
「○○でお困りの方へ!3秒で解決できる製品です」
印象が全く異なるのが分かると思います。
ビジネス動画を作るのは、相手に観てもらいたいから。
ならば、相手が見たくなるような工夫をしましょう。
●具体的には、以下の3点を工夫しましょう。
(1)動画のタイトル・サムネイルは観たいと思ってもらえるように
(2)動画の説明文を分かりやすく
(3)動画の冒頭でどんな動画か、この動画を観ることで相手は何が得られるかを伝える
【チェックポイント2】見たいと思ってもらえる工夫はできているか
□動画のタイトルは観たいと思ってもらえるか
□動画への誘導文、説明文は分かりやすいか
□動画の冒頭でどんな動画か、何が得られるかを伝えているか
【チェックポイント3】動画のゴールは明確か?
ところが、できあがった動画を観て、何を伝えたいのかよく分からない、と思うことがあります。
動画づくりが慣れないうちは、行動が感情に引っ張られてしまうからです。
つまり、最初に「これを伝える」「これを見せる」と決めていたのに、撮影してるうちに、関係ないものまでどんどん撮ってしまったり、編集では「撮影のときに盛り上がったもの」を選んでしまったり、編集しながら疲れてしまい、「早くこの編集を終えてしまいたい」ということがゴールになってしまったり……。
結果として、当初の目的が曖昧になり、何を伝えたいのか分からないような失敗動画になってしまうのです。
これを防ぐためには、「これを伝えたい」「これを見せたい」というゴールは、初めにメモなどに書いて見える化しておくことです。
それを意識しながら動画を撮影し、編集をします。
そんなことしなくても、と思うかも知れませんが、このメモは役立ちますよ。
「言いたいことをいっぱい詰め込めば伝わる」って考えがちですが、実は、言いたいことは厳選しないと伝わらないのです。
撮ったものは全て使わないといけないわけではありません。
「いい素材だけど、今回のゴールに関係ないから使わない」という判断もときには必要です。
【チェックポイント3】動画のゴールは明確か
□初めにゴールをメモ書きして、意識しながら動画を撮影・編集しているか
【チェックポイント4】縦動画と横動画が混ざっていないか?
しかし、これがなかなかできません。つい、うっかり、縦にして撮影してしまいます。
なぜなら、普段スマホを縦にして使うことがほとんどだからです。
職場ではスマホよりもパソコンを使うことが多いでしょう。
そしてパソコンで動画を見る場合、横型の動画の方が見やすい。
YouTube動画も、横型にしておくと視聴環境を問わず無難です。
つまり、仕事での視聴を目的とした動画は、まだまだスマホを横にして撮影すべきと言えます。
縦型の動画というのは、プライベート的なもの、という印象を与えます。
(その、プライベート感を活用したメディアも増えてきました)
縦型の動画を横型に編集すると、左右に黒いスペースができますし、拡大したら上下の情報が削られてしまいます。
編集でなんとかしよう、ではなく、撮影の時に気をつけるしかありません。
スマホの画面の隅に小さく「横にして撮る!」と貼っておくくらいが必要です。
【チェックポイント4】縦動画と横動画が混ざっていないか?
【チェックポイント5】「迷い箸撮影」になっていないか?
ところが、初心者に多いのが、ふらふらと動いて落ち着かない映像です。
迷い箸、という言葉がありますね。何を食べようかな、と箸を持ったままフラフラ動かすこと。
それと同じように、あるものを撮りながら画面が横に動いて、突然下に向く、アップと引きが繰り返されるなど、明らかに「撮りながら考えている」のが伝わってきます。
あらかじめ、何を撮るのか、どこからどこまでを撮るのかを決めておきましょう。
カメラを動かしたいなら、最初と最後に撮るものを決めてから撮り始めます。
その時、撮り始めと撮り終わりは3秒程度固定すると落ち着いた映像になります。
【チェックポイント5】「迷い箸撮影」になっていないか
【チェックポイント6】大事なことがしっかりと映っているか?
・観光地の看板の文字
・建物に書かれた会社名
・パッケージの商品名
こういったものが動画に登場して、文字を読もうとするとすぐ画面が切り替わってしまう。
「ん?・・今なんて書いてあった??」という動画になっていませんか。
撮影者は、そこに書かれている文字を既に読んで知っていますが、初めてその動画を見る人にとっては「パッと画面が変わっちゃって読めない」ということになります。
動画の中で文字を伝えたい場合は、3秒程度はカメラを固定して撮りましょう。
常に「ちょっと長めに撮る」というのがコツです。
余計な部分は、編集で削ればいいのですから。
【チェックポイント6】大事なことがしっかりと映っているか?
□特に、文字は読める長さか
【チェックポイント7】映っているものが分かりやすいか?
ところが、何が映っているのかがそもそも分からないという動画になっていませんか?
「撮りやすい場所からとりあえず撮ってみた」
というのが、初心者にありがちな撮影方法で、その結果、
・建築現場で大勢が集まって、向こうを向いて何かやってる動画
・いろいろ写ってて、何に注目したらいいのか分からない動画
などといった分かりにくい動画が量産されることになります。
動画を撮るときは常に、「何をどう撮れば伝わるか」を考える必要があります。
そのためには、「全体の撮影」と「アップの撮影」の両方狙うなどの工夫が必要です。
例えば、
・エンジニアがスマホを操作しているところを撮る(全体)
+スマホの画面いっぱいを撮る(アップ)
という組み合わせにすることで、視覚的に伝わりやすくなります。
「分かりやすさ」を意識して撮影しましょう。
【チェックポイント7】映っているものが分かりやすいか?
□「何をどう撮れば伝わるか」が考えられているか
【チェックポイント8】音声は聞きやすい動画になっているか?
「聞こえづらい動画」ほどストレスが溜まるものはありません。
音声がきれいに聞き取れる動画を作るためには、次の2つに気を付けます。
A:雑音が少ない場所で録る
B:スマホと口を近づけてしっかり録る
まず、雑音が多い場所で撮影しないようにします。屋外はできるだけ避け、室内では窓を閉めます。エアコンを止め、気になる音の発生源がないか確かめます。
また、声をしっかり録るためには、(マイクが無い場合は)カメラと相手との距離を1メートル以内にします。
そしてスマホに向かって声を張ってもらう(話す内容を書いた紙を手元に持って話すと、声は下に向かいます)。
マイクはどれがいいですか?と頻繁に聞かれますが、撮影場所によって適したマイクは異なります。
まずは、上記のAとBに気を付けることで、スマホでも驚くほどきちんとした録音ができるのです。
どうしても屋外で撮影しなければいけない、移動しながら撮らなければいけない、なんていう場合は、撮影だけに専念し、声は編集するときにナレーションとして吹き込む、ということも検討しましょう。
音楽を入れると、動画が一気に華やかになりますね。
編集アプリについてくる、お金のかからない著作権フリーの音源を使うといいでしょう。
ただ音楽を入れることで、肝心の声がかき消されないようにしなければいけません。
個人的には、「録音が苦手なうちは、音楽は使わない」という判断が無難だろうと考えています。
【チェックポイント8】音声は聞き取りやすいか
おわりに
いろいろお伝えしてきましたが、あまり難しいことを考えていると動画制作が楽しくなくなっちゃうかもしれませんね。
作れるようになったことはとてもすごいことです。
しかし、作ってみてそこで満足してしまうのはもったいない!
もう少しだけ、トライしてみましょう。
動画づくりに役立てもらえると嬉しいです。
オリカワシュウイチ/映画制作体験プロデューサー
1994年にビデオカメラ1台で映画制作を開始。数々の失敗を繰り返しながら22作品を監督、様々な映画祭で上映される。第1回JASRAC音楽文化賞受賞(映画アオギリにたくして制作委員会)。
2003年より初心者向け映画ワークショップを全国で開始、1000人以上にアドバイス。作った教材は高校や大学の蔵書となり、在京テレビ局スタッフ向けの講義や企業向けワークショップ・研修も開催。インタビューや企業紹介動画も数多く制作する。
専門用語を一切使わない、映像作りに初めて触れる人にも分かりやすい教え方に定評がある。
2008年から配信の映像作りのノウハウや楽しさを伝えるメルマガ「映画が作れるようになるメールマガジン」の登録者数は1700人に上る。
1975年広島県生まれ。電気通信大学卒。。
映画工房カルフのように https://karufu.net/
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