母が若年性アルツハイマーになりました。

『母が若年性アルツハイマーになりました。』 著者のNiccoさんが地元の子育て誌にて対談

母が若年性アルツハイマーになりました。

子育てだけでも大変なのに、介護を同時に担うダブルケアに直面する人が、近年増加傾向にあるようです。
突然やってくる介護の現実とは、どんなものなのでしょう?

ふなばし子育て応援誌 『こそ・ あど』VOL.11 夏号に、『母が若年性アルツハイマーになりました。』の著者Niccoさんと、船橋パパ会事務局代長で社会福祉法人南生会 特別養護老人ホームみやぎ台南生苑 施設長の髙橋利明さんの対談記事が掲載されました。

「こそ・あど」は子育てを楽しめるように応援することを企画の趣旨・目的として、船橋市内で発行されているフリーペーパーです。

【丸林剛さん】ふなばし子育て応援誌『こそ・あど』に込めた思いとは?|とこっとインタビュー
https://tocolog.com/interview/go-marubayashi/

今回は、『こそ・あど』を発行されている丸林剛さんの許可をいただき、全文を紹介致します。

ふなばし子育て情報誌「こそ・あど」

親の介護を考える「子育てと親の介護の関係は?」

子育てだけでも大変なのに、介護を同時に担うダブルケアに直面する人が、近年増加傾向にあるようです。
突然やってくる介護の現実とは、どんなものなのでしょう?
それを知る手がかりとなる本があります。

「母が若年性アルツハイマーになりました。〜まんがで読む家族のこころと介護の記録〜」(発行 株式会社ペンコム)
船橋在住のイラストレーターNicco(にっこ)さんが経験した、18年に及ぶ介護の日常をほっこりと描いたエッセイ作品。

介護関係の仕事に就いている船橋ババ会の代表、高橋利明さんと本の著者Niccoさんに親の介護について語って頂きました。

髙橋さん
息子としての視点、夫としての視点、バパとしての視点、介護福社士としての視点、様々な角度から読むことができました。

まずは、お父様がすごい!私たちの父親やそれより上の世代の方で、ここまで妻に寄り添い、向き合っていける「夫」はどれくらいいるのでしょうか。
Niccoさん
ありがとうございます。まぁ、本ではかなり「良い人」に描いていますけど(笑)

=子育てと一緒=

高橋さん
本の中で、介護が始まった当初、Niccoさんが「母の不安に気づけなかった」という場面があります。これは子育てと一緒だな、と思いました。

コロナで保育園や学校に行き渋るお子さんが多いと関きます。わが家もそうです。出動の支度をして、さあ行くぞ!というところで子どもが「行きたくない」とぐずったとき……。まず「今日は仕事休めないんだよー、頼むよー」という気分になってしまいます。自分の仕事や生活に余裕がないと、きちんと向き合えません。

Niccoさん
まず自分の状況を優先してしまいますものね。母が50代の終わりから若年性アルツハイマー病を患って、本人はとっても不安だったと思うのですが、当時の私はまだ30代。自分の悲しさでいっばいになり、母を思いやる余裕は無かったです。

=専門家と家族の役割分担=

髙橋さん
お父様が介護されている様子を見て「いかにして母の病と向き合っていたのか」という記述や、お医者さんが「臓器」しか見ない場面。ここも心に残りました。

介護の専門・介護福祉士としての考えでは、任せるべきは専門家に頼り、「ご本人」に向き合うのは家族だと、役割を分けることも手段のひとつではないか?とも思います。負担はそれだけ大きいものですから。

ただ、自分がその渦中にいたら、そんなことを割り切って言えるだろうか……。一概には言い切れませんよね?

Niccoさん
専門家に任せるのはとても大事なことです。無理して介護の全てを家族でやることはありませんね。でもその時は、専門家の人に家族の気持ちを理解してもらうことも必要だと思います。

=介護に直面した場合の自身に照らし合わせて=

髙橋さん
もし私の母が同様の状況になった時「母はどんな人なんだろう?」「何が好きなんだろう?」と自分なりに考えて出した答えが本当に正解なのか?と。

そもそも介護に直面した状況で母に向き合うことができるだろうか?

今のうちからいろいろな話をして理解を深めておきたいと思いました。

Niccoさん
実の親子でも、よくわからないことってたくさんありますよね。元気なうちにいろんな話をしておくと良いですよ。きっと親御さんも嬉しいと思うな。

=仕事と育児と介護の可能性について

髙橋さん
自分の父親世代とはライフスタイルや価値観も変わり、自分の中にある父親像と全く違うという意味でロールモデルのない時代。

核家族化が進み、共働き世帯が多く、育児は夫婦で協力するのが当然です。私自身も日々の育児と仕事について「妻が仕事を我慢する」「夫が折れる」ことなく、お互いのキャリアを尊重しあい、自分たちなりの家族の姿を模索しながら過ごしています。

いわば戦友とも言える夫婦の形で過ごしている、その経験を生かすことができれば、今後起こりうる家族の介護にも向き合って、お互いに協力しながら乗り越えていけるかもしれません。

そのような夫婦の在宅介護を支える仕組みを作っていく必要があるのでは?と本を読みながら思いを巡らせました。

Niccoさん
育児も介護も夫婦で協力は大前提、その上で介護保険や行政の支援サービスなどもうまく使えるといいですね。

後は、メンタルも結構やられるので、何でも話せる仲間がいると心強いです。

=問題を抱え込まないために

髙橋さん

疑問や不安・悩みなどを日ごろから「話せる人を持つ」事は本当に大切ですよね。まさに船橋パパ会がそういう存在でありたいと思っています。

事実、親の介護が気になっているメンバーでLINEグループを作っています。すでに親の介護と育児のダブルケアの状態にある方、まだ直面してはいないけど夫婦共々実家が千葉から遠い方、そもそも介護サービスってどうしたら使えるのだろうか、など気になる事は様々。

パパ会の中には、介護福祉士として現場で働いている人や福祉機器の会社で働いている方、介護相談を事業として行っている方などがいるので、オンラインで会合を語る会を開催したんです。フラットに気になっていることが相談できました。このような試みを継続していきたいです。

Niccoさん
素晴らしいですね〜。パパ会の活動が仕事と家庭以外の第3の場所的にもなっていて、その中で介護の話もできている。

髙橋さん
船橋パパ会は、いわゆる地域共生社会を支えるつながりになり得ると思っています。Niccoさんの体験談も、ぜひパパ会のメンバーに語っていただくような機会を作りたいです。

育児に携わった経験は、介護にも生きると思っているので、お話が聞けたら嬉しいです!

Niccoさん
親の介護は、そのうち自分が歳をとった時、子どもにどう介護されるのか?というところに結びついていきます。そして介護って、これまでの親子の関係性があらわになるものです。それは覚悟しておいたほうがいいですよ〜。

パパ会で語らせていただける機会ができたら、うちの父にも来てもらいましょうか?

漫画は私が見た夫婦の姿を描いていますが、父は夫としてまた違う何かを考えていたかもしれません。

髙橋さん
私たちは「ロールモデルのない時代」のパパを模索しているという話をしましたが、仕事と育児、妻とのパートナーシップ、そして親の介護。すべてを1人でやろうとしたら潰れてしまいます。

でも、パパ会という活動をしていたおかげで、Niccoさんのような方とも知り合うことができました。

ゆるくつながるコミュニティーで、何か困って相談したいときには気軽に相談できる存在でありたいと思っています。

そうだ!お父様には、船橋パパ会の名誉顧問になっていただくようお願いしようかな?(笑)

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【プロフィール】

Nicco/野島朋子さん:イラストレーター、造形作家、子どもアトリエ講師、アンデルセン公園こども美術館アトリエスタッフ、キタナラにやり研究所研究員
髙橋利明さん:介護福祉士、社会福祉士、船橋パパ会事務局代表、社会福祉法人南生会特別養護老人ホームみやぎ台南生苑施設長、東京福祉専門学校非常勤講師
取材協力/コミュニティカフェあいりす

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