お母ちゃんとの約束 いっちゃんとキヨシちゃんが歩いた、満州五五〇キロ

『お母ちゃんとの約束 いっちゃんとキヨシちゃんが歩いた満州五五〇キロ』を読んだ、海外在住の小学5年生の少年から感想文が届きました

お母ちゃんとの約束 感想
本を読んでいくうちに、あまりにもつらすぎて、ひどすぎて、僕はどんどんどんどん気が滅入っていった。

『お母ちゃんとの約束 いっちゃんとキヨシちゃんが歩いた満州五五〇キロ』を読んだ、海外在住の小学5年生の少年から感想文が届きました。
長文ですが、ぜひ、読んでいただきたいのです。
最後までぜひ、お読みください。
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僕がこの本を読むきっかけは、母が「辛いかもしれないけどこの本は読んでほしい、というか読まなくちゃいけないと思う。」と言ったからだ。
僕は2年半前まで北京にいた。
いっちゃんが居た場所も北京からそう遠くはないし、何より僕が居た頃は反日運動が激しくて、日本大使館の前ではデモが行われていたから、いっちゃんたちの気持ちは少しだけ身近に感じられると思っていた。
でも本を読んでいくうちに、あまりにもつらすぎて、ひどすぎて、僕はどんどんどんどん気が滅入っていった。
母には「まだ読まなきゃだめ?」とも言った。
でもそう言いながら読まなくちゃいけないんだってことも分かっていたと思う。
僕は戦争が引き起こす悲劇を知らなくちゃいけない。
母は戦争を繰り返さないために歴史を勉強しろといつも僕に言う。
お母ちゃんを失ったいっちゃんの絶望や、いっちゃんが引き揚げの時に感じていたと思う緊張感と恐怖感はきっと僕には分からない。分かってしまうほうが怖いようにも思った。
僕はきっとパニックになる。いっちゃんに申し訳なく思った。

僕はいっちゃんの本を何度も読めるほどまだ強くないけれど、世界が平和になるように自分のできることをやっていこうと思う。

こんな思いを別にいっちゃんがしなくたっていいじゃないか。不公平だって思った。
あとがきでいっちゃんが引き揚げた後も色々な問題にぶつかり辛い体験をしたことを知った。
でもいっちゃんは「今、幸せです。感謝しています。」って書いていた。
なんでこんな風に言えるのかよく分からない。でも、こんな風に言える理由は、お母ちゃんがいっちゃんの手を一晩中ギューっと握って「いっちゃんのことが大好きだよ。大切だよ。」っていう愛情をいっちゃんに残してくれたから、いっちゃんは辛いことを経験しても「幸せです」と言えるし、自分の子供にも孫にも愛情をあげることができるのかなぁと思った。
だからいっちゃんのお母ちゃんはすごいと思うし、「ありがとう」と伝えたいと思った。
いっちゃん。僕よりも70歳以上も年上だけどいっちゃんのママはすごいねって思います。
僕はいっちゃんの本を何度も読めるほどまだ強くないけれど、世界が平和になるように自分のできることをやっていこうと思う。

もし出来るなら、英語の翻訳を出してほしいです。そうすれば、今の学校の友達にも読んでもらえるから。
よろしくお願いします。
つらかったのにこの本を書いてくれてありがとう。

つらい内容でしたが、素晴らしい本に出会えたと思いました。

お母様からもお手紙を頂戴致しました。

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現在、シンガポールでインターナショナルスクールに通う小学校5年の男の子です。

両親ともに日本人で国籍も日本です。父親の仕事で4歳で日本を離れ、上海と北京で5年半を過ごし、その後シンガポールに移住し現在に至ります。
あまりの残酷さに一旦は読むことを放り投げてしまいましたが、ボランティアでお会いしたおじいちゃんの話(日本人ですが戦時中にマレーシアに逃げて現在はシンガポールの老人ホームに入っていらっしゃいます。彼は自分のお母様の生死を未だ知らず、「お母さんに会いたい」と何度も言っていたようです。)が契機となり、また読み始めたようです。
つらい内容でしたが素晴らしい本に出会えたと思いました。
ありがとうございました。


<お読みいただいた本はこちら>
お母ちゃんとの約束
「お母ちゃんとの約束 いっちゃんとキヨシちゃんが歩いた満州五五〇キロ」

このお手紙が契機となり「英語版」が出版されました。
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