源氏物語 明石のうへの おやすみしあと-明石城主松平忠国と源氏物語史跡の謎を追う
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江戸初期に建立された「明石入道の碑」を手がかりに、旧明石藩領に次々と誕生した『源氏物語』ゆかりの地の謎を解き明かす歴史探究の一冊
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江戸初期に建立された「明石入道の碑」を手がかりに、旧明石藩領に次々と誕生した『源氏物語』ゆかりの地の謎を解き明かす歴史探究の一冊。
著者・義根益美(よしもと ますみ)氏は、文献や石碑、地図を精緻に読み解き、「明石入道の碑」建立者である5代明石城主・松平忠国(まつだいら ただくに)の人物像や、刻まれた和歌に込められた意図に迫ります。文学と歴史の交差点を体感してみませんか。
◆ 一基の石碑から始まった明石藩領“源氏物語ゆかりの地”の誕生劇
明石の浦近く、小さな寺の境内に、ひっそりと建つ一基の石碑。
5代明石城主・松平忠国が、江戸時代初期(明暦3年/1657)に自ら詠んだ歌を刻み建てたといわれています。
いにしへの 名のみ残りて有明の 明石のうへのおやすみしあと
この歌が『源氏物語』に登場する「明石の上」の父「明石入道」の館跡を詠んだものと解釈され、「明石入道の碑」は明石における“物語史跡”の出発点となりました。
やがて、源氏屋敷・光源氏月見の松・源氏月見寺、光源氏月見の池・岡の屋形など、次々と“『源氏物語』ゆかりの地”が誕生していきます。
神社仏閣など、神話と現実世界がつながる例は古くからありますが、「明石入道の碑」のように、文学作品『源氏物語』にちなんだ石碑・モニュメントが、しかも江戸初期に建立された例は極めて異例です。
◆ 文学と歴史が重なりあう、実証的探究。あなたも“謎解きの旅”へ出かけてみませんか?
本書は、この石碑を手がかりに『源氏物語』と明石の郷土史がどのように交わり、語り継がれてきたのかを探る一冊です。
著者・義根益美(よしもと ますみ)氏は、文献・石碑・地図を緻密に読み解き、松平忠国の人物像や、歌に込められた意図に迫ります。
江戸初期という時代に、なぜ『源氏物語』の記憶が石に刻まれたのか?
そもそも『源氏物語』を詠ったものなのか。
物語と史実のはざまに生まれた謎を追いながら、読者はまるで江戸時代の明石を歩くかのような体験へと誘われます。
『源氏物語』を知らなくても大丈夫。
本書を片手に“源氏ゆかりの地”を歩けば、文学と歴史が響きあう時間を楽しめます。
古典文学・歴史教育・郷土研究を橋渡しする、新たな地域学習のリソースとしても高い資料価値を持つ一冊です。
物語に刻まれた記憶が、どのように現実の地に根づいていったのか――。
一基の石碑を起点にした知的冒険が、あなたを待っています。
【巻頭カラー】
Map:松平忠国と源氏物語 ゆかりの地を歩く
図版:明石初公開の貴重な資料の数々を紹介
【主な内容】
巻頭カラー
松平忠国と源氏物語 ゆかりの地を歩く Map&図版
第一章 古典文学と明石
紫式部はなぜ、『源氏物語』に明石の巻を書いたのか
第二章 松平忠国の経歴と人物像
松平忠国とはどんな人物だったのか
第三章 『源氏物語』と明石
忠国はなぜ、石碑を建てたのか。「文学遺跡」との関係は
著者・義根益美(よしもと ますみ)
日本近世史を中心に研究。自治体の市史編さん、神戸文学館学芸員などを経て、時代や分野に関係なく幅広く様々な資料と向き合ってきた。
現在は地域に残されている資料や博物館所蔵資料の整理・調査・研究に従事し、博物館発行の図録や学会誌に解説や研究発表を続けている。
「資料に忠実に」がモットー。神戸女子大学大学院文学研究科後期博士課程中途退学。兵庫県明石市在住。